たとえば明日とか

たとえば明日とか死ぬ

駄菓子屋のガムとか人工衛星とか好きだった

真下から空を見ていたら唐突に父のことを思い出した

帰宅の遅い父がたまに早く帰ってくると嬉しくてずっとへばりついていた幼少期

ベランダで並んで空を見ていると、おいあれUFOじゃないか?!見える?あれだよ!と本気で言い出す父が好きだった

人工衛星なんじゃないかと思っていたがあれは本当にUFOだったのかもしれないなあと今は思う

母は黙って夕飯の片付けをしていた

たまにとんでもなく真剣な顔で嘘みたいに大幅な冗談を言う人だった

きっとそんな母のことが好きだった

憎むべきものになってしまっていた馬鹿みたいに大げさなセコムも広すぎるウッドデッキも全部、父はそんなわたしたちを守って愛するために作ったんだといまさら思った

父と母がマヨネーズを生姜焼きにかけるかどうかで言い合っているのを聞いたのが2人がまともに喧嘩をしているのを見た最後だった

子供ながらそんな2人を愛おしいと思ったことも思い出した

駄菓子屋の猫だかなんだかわからないイラストの描いてあるガムに久しぶりに出会ったような、もう食べたくないけど懐かしいし買おうかな、思い出せなくてもいいけどたまに思い出せたらうれしいなあというような曖昧な感覚だけれども

いまは好きだと言えない母のことが好きだったことがあるというだけで嬉しかった

また会えるだろうか駄菓子屋のガム、舌に色が移ってしまう飴とかそういうのにも再会したいな

(なんか曖昧な感じで終わってしまったけれどもどうしても書ききりたくてとりあえず終わらせた)