たとえば明日とか

たとえば明日とか死ぬ

虚しさの原因菌

最近セックスしてハグして眠っても虚しかった

そんなことあるはずがないのに人といる方がさみしくて、一緒にいるのに1人の時の虚しさがより際立っているような、恋人と別れる前の、お互いのことがわからなくなっていく感じに近いような感覚だった

こんな感覚でセックスをしても楽しくないのでセフレともあまり会わなくなった

しかしなぜか新規と会っても虚しくはならないので不思議に思って割と真面目に考察してみた

結論から言うと何も共有できないから、もしくは永遠には共有できないから虚しくてどうしようもなくなるのだ

突然だがわたしはセックスが好きでセフレを作ってわざわざこんなクソ忙しい中会っているわけではない

セフレたちの目的がセックス第1なのかそうでないのかはこの際どうでも良いのだが、少なくともわたしは違う

自分と相当近い価値観か全く真逆の、いろいろな種類の人と会うたびに様々な角度からの意見が聞けて楽しかったし、セックスをする友人というよりも友人とセックスもする、という方が近い気がしていた

しかし彼らと何かを共有することはできないことに気づいてしまった

何かを、というよりも本当は1番共有したい何かは何も共有できない

1番共有したい何かは人によって色々あるだろうが、たとえば寂しさを共有したい人がいたとしてもその人と寂しさを共有していられるのは一緒にいる時間だけだし、お互い別のセフレもいることがわかっていれば、この寂しさを共有しているのはいるときだけだとより深く感じる瞬間があると思う

 

そのことを実感したのはいつも腹十二分目くらいまでハグしてくる人と会っていたときだった

その日はわたしもなんとなく嫌なことがあって黙ってずっとハグしていたのだけれども、ふとこの人がいつもわたしをたくさん抱きしめているのは誰かの代わりなのか、さみしいからなのか、または別の理由があるからなのか何も知らないなと思った

一瞬知りたいと思ったけどその領域はわたしのようなセフレ業の女(既視感)が踏み込むところではないな、と思い直してセックスしてまた抱きしめられて眠った

そうしてまたセックスという暴力的なものは全てを流し切ってしまった

セックスを挟んでいるがゆえに踏み込みたくないことが多すぎる

だってセックスはやっぱり気持ちいいし、終わる頃にはもう共有したかったことなんてどうでもよくなってぐっすり眠ってしまったりする

こんな健全さが他に存在するだろうか

だから結局わたし達は何も共有できない

仮に本当は共有したい何かを共有できる隙があったとしてもセックスがすぐにやってきて、あれ今なんかあったっけ?くらい何もなかったように埋めていってしまう

いくらの時間を共有して同じ食べ物を食べて人間としての根本の欲求を共有したとしても、きっと人として私たちが1番共有したい感情は永遠に共有できない

セックスしてお互いに言わなくても共有できているという顔をしてわかったようなふりをしているだけでなにも分かり得ないのだ

だからセフレは虚しい

名前も年齢も出身地も仕事の愚痴も元彼女の悪口も寂しさの原因も聞いてもその人には1ミリも近づくことはできない

1ミリも近づくことができないから心地よい関係でいられるし、心地よい関係以上ではいられないんだけどね

だからこそこんなに心地の良いところから出てそれ以上に不幸せかもしれない何かを手に入れに入れなければいけないのかもしれないとうっすら思う