たとえば明日とか

たとえば明日とか死ぬ

来世はTENGAになりたい

わたしはもういっそのことTENGAになりたいよ

最近欲望が全くない

セックスしたいとか、この音楽が好きだとか、あの服が欲しいとか、そういう気持ちが全くなくなった

感情ですら本当は100あるはずなのに、薬によって10くらいになって、泣く事も思い切り笑う事もない

わたしなんて所詮死にたいだけの空っぽにそれらしい知識を詰め込んだものなのだから、それならいっそTENGAになりたかったな

美しい言葉だけ持って生きていたかった

それだけではだめなんだと気付いて困っていたら、お父さんがお金を稼ぐための階段と、学歴をぽいとくれた

簡単に死にたくて看護学校に入って、死にたくなくて哲学を勉強している

どうして看護師になろうと思ったの?と聞かれたから、「何かあった時に何も出来ない自分では悔しいから」とかそれっぽい事を言う

なんで哲学なの?と言われたら、「勉強が好きだから」と答える

それが世間の望んでいる答えなのだとわかっているからだ

思えばわたしの性格はすべてそうやって形成されてきた。母親の望む答え、お父さん望む娘、夫の望むわたし

それでも死にたい気持ちが邪魔をして、誰の望むものにもなれない、こんなろくでもない知識ばかり詰め込んだ虚無の人間が出来上がるのであれば、いっそTENGAにでもなってこの世の思春期男子のお役にでもたてばよかった

もう疲れたよ

珪藻土で丁寧に水分を吸収してもらって、なんども使ってもらえるTENGAになどなれなくていい

高校生男子が誕生日プレゼントでもらって、まあちょっと使ってみてもいいかなあと一度使ったところで謎の罪悪感にかられて捨てられるような、そんなTENGAでいいからもうわたしはTENGAになりたい

そうだ、来世はTENGAになろう

ちょっと間違って女の顔をかたどったオナホなどにはなりませんように。南無南無