元婚約者を思い出している
大好きだった人に別れてと言われて結局両方とだめになったはずなのに思い出すのは元婚約者のことばかりであるのであれは愛だったのかもしれないと考察する
恋は薄まってでも愛は残ってと某メンヘラバンドが歌っているように、恋だった大好きだった人は薄まってもはや真水だが、大好きな人より大事ではないと判断した元婚約者は真水どころ海水よりの淡水ぐらいの感じである(全然うまいこと言えてない)
この先私が誰とどんな人生を歩もうとも、また誰とも歩まなかろうとも生まれて初めて愛した誰かは元婚約者で、元婚約者が初めてセックスをしたのは変わるはずもなくわたしだ
全部が最悪な思い出でもたぶんずっと元婚約者の中にわたしはいる
言うまでもなくわたしの中にも一生元婚約者はいるだろう
あのときのように傲慢でわがままなままであの人にだけ好かれて生きていられたらよかったと何度も思う
たまに夜中目を覚まして指輪をはめる
左手の薬指にいつづけるはずだったそれはなんにも知らないような顔をして暗い中光ったりする
腹が立っていっそのこと捨ててやろうかと思うが、指輪を買った帰り道わたしの手を強く握って笑っていた顔を思い出してどうしようもない気持ちでそのまま強引に眠ったりするのである
しあわせになってくれと思う権利すらないと言い続けてきたが本当はそうではないことをずっと知っている
しあわせになんてなって欲しくないのだ
新しく出会った誰かとまた恋をする、いつかわたしは薄まってだんだん消えていく
あの人の中でわたしが思い出になるのが怖い
思い出すことすらなくなる日が来る
彼のなかのわたしが死ぬのが怖い
それでもひとつだけ彼に伝えるとすればやっぱり幸せになってねと言うだろう
だけど余計に一言加えるならさみしいけどねと言ってしまうに違いないとも思う
いつか会ってもしもそう言ったら笑ってくれるような人だった
そんな人の幸せを心から願える日がくると信じたいようなそうでないような気持ちで今日も生きている