たとえば明日とか

たとえば明日とか死ぬ

腹パンマンの話

Mさんとしておく

オサダさんだったけど、Mさんで書きたいのでMさんね

1年前に出会った

Mさんと会って良い方向に行ったのかと問われるともちろん良い方向に行っているわけはなく、殴られるのが趣味というなかなかヘビーな性癖までゲットしてしまった

それでも1年間わたしはたった1人じゃなかった

しかし付き合っていたわけでもないし恋愛感情はお互いさらさらなかったと思う

2人で撮った写真なんて1枚もないし彼の携帯にも私の携帯にも互いの写真すら1枚もない

唯一あるのは酔った彼と友人と4人で撮ったプリクラ1枚だけだ

Mさんとわたしってなんなんだろうな

Mさんがいれば怖くなかったしMさんがいるだけでずっと弱くなった

会うのは月2回くらいだったけどMさんからはたまに電話がきた

まな今何してんの?いや家ですけどとか人といますとか返していたけど人といますというと大体機嫌が悪くなるので、誰かといても家にいますと時々嘘をついた

なんか用ですかと聞くといつも、お前に用なんかあるわけないやろと言われるので、早く死んでくださいと返してしばらくとりとめもない話をして電話を切る

そんなことに救われていたんだといまさら気づく

過食嘔吐をやめられなかった時もオーバードーズをした時も、お前クソダサいねんと言って笑っていた

全ての自傷行為を否定も肯定もせずに、ただ死ぬなとだけいつも言ってご飯を食べさせてくれた後おなかを殴った

彼の殴ることでしか埋まらない穴を埋めるのと同時に、わたしの殴られることでしか埋まらない穴も彼が埋めてくれていたんだと思う

いつだって1番遠くて1番大事な人だった

いまさら涙が出てきて困ってしまう

いつか幸せになってほしい

わたしなんかが行けない世界で、さみしくないところで、殴るのもハプバーも乱交パーティーもないところで、ずっと好きなひとが隣にいてくれるような世界で絶対に幸せになってほしい

さよならMさん、もう二度と誰かのこと殴らないでぽっかり空いた埋まらない穴をたまに見つけてわたしのこと思い出して

わたしももう他の誰かに殴られることはないだろうと思う

殴られることでしか埋まらない穴はいつのまにかMさんでしか埋められない穴になってしまった