たとえば明日とか

たとえば明日とか死ぬ

よろにくまつぱ舌ピアス

仕事を1ヶ月サボった。月曜の夜に髪を染めてニードルを買った。火曜の朝5時に起きたときもうだめだと思った。色々重なることはあったけど限界だった。職場に適当な連絡だけしてニードルを握りしめて起きていたパピコの家に行った。マクドナルド食べてずっとたばこ吸ってピアスを開けた。だらだら血が出て刺されているわたしより針を刺しているパピコの方が大変そうだった

夕方に一度家に帰ってシャワーを浴びてもう一度パピコの家に行って焼きそばを食べさせてもらった。焼きそばを食べていたらパピコの友達がきたので2人にメイクしてもらった。わたしは何しろ目の大きさにかまけて化粧というものをほとんどしてこなかったメイク力がゴミのような女なので生やしていたほとんどの眉毛がムダ毛に該当するのだということを初めて知った

たくましい女の子はみんないろんな努力してるんだなと思った。2人に感謝しつつ一瞬付き合っていたセフレみたいな人に会うべく中目黒のおしゃれ居酒屋みたいなところに向かった。人として変わってなくてつまらないと思ったけど断るのも面倒くさかったので家でセックスした

生でしようとすごく強く言われて嫌だった。そういうの全部怖いと思うことをやめた自分が憎いなと思った

駅まで送ってもらってラインはブロックして先輩のところに飲みに行った。すごく眠くなってすぐ帰って寝た。でもこういうときに行けるところがあってよかったなと深く思った

起きたら水曜日だった。昨日サトウアツシに書類整理しに行けると言ってしまったことを思い出して憂鬱な気持ちになった。決して書類整理が嫌いなわけでもサトウアツシのことが嫌になったわけでもないのだが、今はそれどころではないというのがここ2ヶ月くらいの状況だった。しかしながらサトウアツシはそういったタイプの不義理に非常に厳しいタイプだし、この精神状況で怒られでもしたら本気で死んでしまうと思ったから行くことにしたのだが、もうそれも無理だと思った。絶縁されてもしょうがないと諦めながら本当に書類整理ができないという旨のラインを送った。1時間ほどたって絶望の中、通っていた看護学校の先生に会いに行くために準備をしていたら返信が来た。もうだめそうなことはわかっていたのにごめんというような内容だった。わたしがだめになったことを失望する象徴みたいに思ったことも、つまりはサトウアツシという人間を信用していなかったことも全部申し訳なくて、それから人って優しいんだなと思って泣いた。久しぶりに泣いた。泣きながら学校へ行って先生と話してまた泣いて、女の子たちに強く勧められたまつげパーマに行った。30分くらい目をつぶりながら元夫と行ったハワイのプールに沈んでいく白昼夢をみた

わたしはいま、あの人のところで泣きたいと思った。

家に帰って少し寝てセックスの準備をした。本当は何にもしたくなかったけどそれも断る方が疲れるから準備した。セックスしたけど楽しくなかった。家に行こうかなと言われたので、この人が家に来てくれればわたしは松田にひどいことを言わないで済むのになと思ったけどもう無理だった。自制心みたいなものが溶けてなくなって30分後には公園で泣きながら松田と電話していた。この人に狂っていくわたしを拒めるわけがないと電話する前は思ったけど違った。ただ人間はわたしが思っているよりずっと優しいだけだったことがわかったから松田が電話にでたとき泣いた。

どうして最後まで好きでいてくれなかったの、ここ最近ずっと思っていた。それを松田に聞くことがどれほどひどいことかわからなくなった。なんで最後まで好きでいられなかったのどうして離婚することになったの何を間違えたのどうしたらよかったの

松田の住むところまでタクシーで行ってその間先輩と電話してまた泣いた。わたしには全部どうしたらいいかわからない。

しばらく待っていたら本当に松田が来て辛くなった。涙が全然止まらなくて意味がわからなかった。住宅街なんだから泣くなよーやめてよーという優しさがかなしかった。松田の家には懐かしいカーテンと棚と棚があって、全部買い替えたわたしよりも着実に前に進んでいることがわかった。この人は誰かとでも1人でも楽しく生きていくんだろうなと思ったら余計に自分の進むべき方向がわからなくて泣くことしかできなかった。松田は困ったとは言うものの、実際にはこういうわたしに慣れているように飲み物をくれたりたばこを吸ったりしていた。やっぱりこの人のところで泣いてよかったと思った

1時間くらい泣いたらさすがに疲れてお腹が空いたので傍若無人にもほどがあるとは思いつつお腹が空いたと言い放ち、ペペロンチーノを作ってもらった。こういうふうに気が狂った女にも夜中にパスタを作ってくれるところを好きになったんだよなと思った

わたしみたいな人間と結婚したばかりにこんな目にあって大変だね、と言ったら本当だよ笑っていた

眠くなったから帰れという松田を無視して寝た。男性の隣でセックスを考えないでいたのは久しぶりで気づかれないようにまた少し泣いて細切れに寝たり起きたりした

アラームで起きた松田に、いつか泣いてペペロンチーノ作ってもらって無理やり泊まった日もあったけどまなちゃんしあわせになったじゃんってあなたに言ってもらえるようにいきるねと宣言して一緒に家を出た。

コンビニでコーヒーとトマトジュースを買って歩いたし、隣で寝て起きて出勤する日なんて当たり前にあったはずなのにはじめてのことみたいだった

元気になったらよろにくをごちそうするねと約束して別れた。夜から朝になるまでずっともう一回やり直したいよって何回も思ったけどそれはまた傷つけたいよとほとんど同じ意味でそんなに人を愛する覚悟が今のわたしにはないことはわかっていた

これからどこに向かうんだろうと思う。しばらくずっと思っているし、わからないままだけど思う。せんせいもしかり松田もしかり、好きでいつづけられなかった人にすがって結局誰かに助けてもらって、どうやって1人で生きていくんだろう

何もかもわからないけど、約束は守りたいと思う。よろにくをご馳走すると言ったことも、いつかしあわせになったって言うことも、いつか誰かとした死なないという話も。1ヶ月たったら仕事に行く。仕事のこと嫌いにならないために転職活動する。もっとかわいくて大事にされる人間になるためにまつげあげる。しなない。